ブルーノートスケールとマイナーペンタ

ブルースといえばブルーノートスケールですが、ブルースを表現するのって単純だけに実はものすごく難しい。ジャズにおいて、このブルーノートスケールの勘違いを感じることがあるので述べてみます。

アドリブに関しての持論ですが、ジャズってのは意外性の音楽。聴く人をどう裏切って感情を動かすかという作業。この人面白いジャズができるかという判断基準は、会話、言葉の選び方にウィットがあるかどうかで一発でわかる気がします。SNSとかで大喜利的なのを期待して「これ、なんに見えますか?」みたいな質問に、いきなりド正解を書き込むような人、絶対友達になれんなーと思う。偏見ですが超理系な人(笑) 笑いのメカニズムとジャズは共通点が多いので、ジャズミュージシャンの会話、普通の人には理解できづらいことも多いです、裏の意味を感じ取れるかどうか。


話を戻すと、ブルーノートのスケール。ジャズの勉強を始めると早い段階でこのスケールを覚えると思うんですが、これはっきり言って難しいです。音列的にはマイナーペンタにb5の音を加えただけなんですが、とりわけ吹奏楽(クラシック畑)から入ってきた人はブルース感に慣れていないので、スケール内の音をすべて同列で扱いがち。ブルースに根差さない人たちがそういう教え方をしてきた責任だな。パターン的なものをb5の音を入れて作るとほんとかっこ悪い、時々5度の音に置き換えて使うと発想に気が付けるといいんだけど。下手するとゲゲゲの鬼太郎フレーズのオンパレードになるし。マイナーペンタばかり弾きまくってきたロック系から入ってきた人のほうが、こればかりは上手な気がします。

長い間音楽やってきて気づいたことはブルース感を出すための音は、実はb5ではないということ。一番大事なのは3度の音。いわゆるクオータートーンってやつですが、メジャー3度に上がりきらない上ずったマイナー3度、これこそがブルースだと思う。黒人のジャズではないブルースを聴けばわかる人は気づくと思う。

西洋音楽の平均律で考えると説明のつかない音程なので、クラシックから入ると理解しにくいんだろうと思う。理屈から入るならb3度、b7度は普通に短音階の中の音なので、特徴的なb5の音に注視してしまい、単音連打みたいなb5にステイしまくる非常にダサいフレーズ演奏しがち。だいたいb5の音は4度と5度の間の経過音、もしくはコブシを効かせるときの音と思ったほうが良いです、基本はマイナーペンタでフレーズを作るのが重要。

b5の音、ホールトーンスケールの特徴音でもあるので(#4ですが)ブルースフィーリングなしで演奏するならセロニアス・モンク的なコミカルな雰囲気が出てしまいます(モンクそのものはもちろんブルージーでもあるけど)モンクはピアノでブルーノートを表現するためいろんな実験をしています、半音でぶつけるとかね。

ちなみにこのブルースを感じさせる3音b3,b5,b7の音、サックスでいえば微妙な音程感を表現する、ベンドというテクニックを使いまくれるおいしい音です。例えばエリントン楽団の「昔はよかったね」という曲の頭のフレーズの最終音、メジャー3度の音なんですが、これを少し低めから長3度に上がりきらないとこで止めると俄然ブルース感が出ますよ。BBキングはもちろんエリック・ゲイルとかジョンスコあたりの人たちも上手ですよね。聴きこんで体にしみこませるしかマスターする方法はないんですが、なかなかそこまで気づく人が少ないのが現状。

表現力に長けたプレイヤーって、歌でも楽器でも1音1音の音程や音色に細かくこだわってるからそう聞こえるので、音符が吹けただけで満足しないよう精進したいものです。



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