初めての楽器
かくして法政大学ニューオレンヂスイングオーケストラ(一応名門)に入部したのですが”楽器がなければはじまらない”ということで、先輩に連れられて新大久保へ。
そのころデビッド・サンボーンというアルトを知って”グワーッ”という歪みまくる音に食指を動かされましたが、先輩曰く「アルトはケントが結構吹けるので、お前テナーにしろ」と。どっちみちアルトは選ばなかったと思うけど(持論ですが、体形に似合う楽器を選ぶのが上達のコツかと。自分ブレッカーとかデクスター・ゴードンみたいな体型なのでアルトほんと似合わないです。あれは中背の優男かパーカーみたいに腹にのっけて吹く人が似合う)テナーを選ぶことにしました。
ケントというのは川島研斗(いかにも都会の名前と思った)という同期。神奈川の名門浅野高校吹奏楽出身で、入部した時点で先輩より指は回るし初見も完璧!ちなみにトロンボーンの河野っていう(のちにコンマスとして2年連続で全国5位入賞させた立役者)ラッパより速く高く吹けるのがいて、うわー東京にはすごい奴がなんぼでも居るなーと思ったもんです。しかしながら彼ら、このド素人の初心者を見下すこともなく対等に付き合ってくれたから、今でも楽器続けてられるんだなぁと思う。
なわけで出会った楽器はフランスセルマーのテナー。当時スーパーアクション80が現行機種だったので、アメセルは置いといてもマーク6は2モデル前のお買い得中古車くらいの感覚だったかと思う。言われるがまま、マーク6のテナー(9万番台だったかな)にオットリンクのメタル7星、リコロイヤルの2半、クソ重いグローバルのハードケースとクロスやら付けてもらって19万だったかな。今なら格安だよねー。まぁ帰り道は重かったけど嬉しくて地に足がつかない感じだったです。
4月下旬、やっと自分の楽器で練習できるようになりました。サックスってすぐ音は出るけどいい音を出すのはなかなか難しい楽器と言われます。ですが自分すぐ出たんですよ何故か。最初からサブトーンのアンブッシャーになってて、でかく吹けばフルトーンになるような。テナーという楽器に向いてたんだとその時は思いました。で、1週間余りひたすら八分音符の吹き方練習させられました。ジャズ特有のあれ、ニューオレではルバルバと呼ばれ、これができないと次にいけないやつ。何となくできるようにはなってきたのですが…。
が! 譜面全然読めない。最初にもらった譜面はDREAMというほぼ白玉だけの曲。初回のジュニアの練習で他のメンバーは余裕で初見してる傍ら、自分は階段上るように音符の高さ数えないとわからないので全くついていけません。明らかにみんなとレベルが違いすぎです、こりゃ大変だ!
でも初めてジャズのハーモニーの中に、自分の音が混じる感じがものすごく気持ちよくて感動したのは今でも覚えてます。
というわけでこの楽器と共に2年間の苦行が始まるのでした。
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