4th テナーの座

楽器初めてまだ1カ月ほどなのにレギュラーのチャンスが!

一か月ほど経った6月頭、そのころには五線内の音符は何の音かわかるようになり、ハエのとまる速度ならリズム譜割も何とか読めるようになりました。

ある日先輩が「オーディションするからこれ、練習しとけ」と言って譜面渡されました。当時サックスセクションはE年の(学バンでは1234をCDEFで呼びます)テナー、D年のアルトとバリトン、そしてC年で前回登場したケントがアルトの3rdに入ってて、4thテナーが空きポジションでした。そしてジュニアにテナーが3人。曲はベイシーの”CUTE”。うわ!見たこともない音符の数と、なんとフラットが3つも付いてる、こりゃ何のキイだろか?みたいな。今思えばそんなに難しくはないけどフラット3つ、特にラのフラットというのは初心者には鬼門です。。

リアルの速度では読めるわけないので全部丸暗記です、二週間かけて。同期のTb白井(翌年からレギュラーに上がった彼はbachの1番という小さいワイングラスみたいな深いマウスピースで楽々と超ペダルトーンをバリバリ出したので、後に六大中で『ニューオレのバストロは化け物!』と畏れられた人物)が絶対選ばれるから頑張れ!と言ってくれましたが、まだ初めて一か月ちょっと、あとの二人は吹奏経験者なわけで、そりゃ無理だろーと思ってた。

で、結果は「お前が一番ジャズっぽい音がする」ということでなぜか合格!

そして「この譜面練習しとけ」って2曲渡されたのが、まさに鳥獣戯画の巻物並みの20数ページの楽譜だったのです。1曲目はテンポ300近い、しかもサックスソリが数コーラス続くチェロキー。もう一曲は超難解なアカペラTuttiのあるモンクのWell You Needn’t。

そうです、わかる方は気が付いたでしょうが学バン界最大の夏のイベント、ヤマノビッグバンドコンテストがお盆過ぎに開催されます。つまりとりあえずサックス5人並べるための埋め合わせです。

しかし楽器初めて一か月ちょっと、ヤマノまではあと二か月! どう考えても無理。でもやるしかないので練習はするものの、ちっとも体に入ってこない。ビッグバンドのハーモニーパートを吹いたことのある人ならお判りでしょうけど、ジャズって複雑なテンションの入った響きなので、特に内声部は全くメロディーに聞こえません。しかもニューオレは日本で最も前衛的なアレンジを書くニューハードオーケストラの山木孝三郎さんのスコアを代々使っていたのでなおさら。

円周率の無意味な数字を千桁暗記するような苦行が始まるわけですが、覚えるしか生き残る道はないわけで…覚えました。

なんとかごまかしつつ吹けないとこはわからないように音消しつつ(笑)、コンテストの結果は15位くらいだったと思う。まだよその学校がどうとかまるで分らないので、最優秀ソリストの○○さんはすごいわー、というくらいの感想で、あんまり覚えてないな。

二カ月間、怒鳴られ譜面台蹴っ飛ばされながら毎日八時間くらい練習したので、譜面はかなり読めるようになってきましたが、ビッグバンドだけやっててもジャズできるようにはならないと思ったのも事実。並行してアドリブできるようになんなきゃ、特にテナーは。ただ、楽器のコントロールという面ではすごく役立ったかな?ニューオレのサックスはピッチやアーティキュレーションはかなりシビアだったし。

他人との合わせ方とかコンボ上がりの人とはやっぱり合いにくいもん。


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