ベルグラーセンとオットーリンク
マウスピースはサックス吹きにとって永遠の悩みですが、自分の使っているこの2本考察してみます。
前回のライブからラーセン使ってます。数年に一度マイブームがあって、汚い音でいいからバリバリ吹きたいというとき登場するのがこれ。
リンクとまるでキャラクターが違うので、しばらくは慣れるまで吹き込みが必要ですがサウンド的にはバリバリ感のおかげで1.5倍くらい音量が出る感じ。
サックスを始めたころ1980年代初頭はまだ選択肢が多くなかったので、ジャズやるならリンクかラーセンの二択、ブレッカーが出てきてデュコフが現れたくらいでしたが、ほぼリンクが席巻してた時代。六大学界隈では日大の金子さんがデュコフ、ラーセン使いは慶応の同期がラバー明治の先輩がメタルとそれくらいしか見かけなかったと思う。
例によって自分も最初リンクのメタル7☆を勧められて(ほかの選択肢はなかったな、開きすらこれって感じで)使ってましたが、上達するにつれ自分に合うものがわかってきて、今はリンクの9と10番使っています、ラーセンは120の1Mとい明るめの音のやつ。どっちも相当開きは広いです、クラシック用の倍近い。好きなプレイヤーが使ってるマウスピースはなぜかラーセンが多い。ロリンズ、ウィルトンフェルダーなどエッジの立った男っぽい音。
ラーセンの特徴は内部構造(ブレットチェンバーといわれる砲弾型のチェンバー)と材質ですかね。非常に硬いステンレス製で、狭い入り口を通ったエアがブレットチェンバーのせいで乱気流を起こして拡散していく感覚。独特のアクというか臭みが乗っかる。けっしてお育ちが良くないような(笑)詰まったものが一気に抜けるよな。リンクだと入り口から出口まで常に広いので、ハスキーなノイズ成分は多いのですが直線的に息が入り素直な音色(品のある音色)というイメージ。デュコフは狭い入り口から段付きチェンバーに入り、音は明るくなるけどリンクと同じくまっすぐ入るので割と素直な音(鉛というぐにゃぐにゃの材のせいで特徴は出るけど)あくまで自分比の感覚ですが。
リンクのいい音の代表D.ゴードンとラーセンらしい音の比較(4:00くらいから)それと自分的理想、汚いラーセンの最高に美しい音ロリンズ(笑)。
この吹き始めのバッて入るエッジと歪ませたときの音色、ラーセンでしか出ません。
ラーセンの真骨頂サブトーン!松浦ヤスノブ大師匠。演歌サックスはほぼラーセン。
リンクとラーセンの違いをまとめると。
以上ほぼ正反対なのですが、なぜこれらが代表とされてたのか不思議です。明らかにストレートなジャズならリンクが合うし。やってる人ならわかると思いますがラーセンのスペック、ミスしやすい要素のオンパレード。かなりシビアなセッティングを要求されます。奏法とセッティング間違うとリードミス連発のビャービャー音になりがち。
今になってやっとわかったことは、最重要点がフェイシングにあるということ。以下あくまでも自分の感想。
リンクのフェイシングはそれほど長くないのでバンドレンの青箱のような先端が振動するリードが合うのに対して、ラーセンのような長めのフェイシング(ミディアム表記ですが明らかに長い、特にラバー)だとアンファイルド(アメリカン)カットが合うということ。それ発見してからラーセンはリード選ぶなと思っていたのが一気に解決しました。よりバリバリ大きい音が出るようになったかと。同じ開きでもラーセンのほうが柔らかく感じるのはそのせいだった(感覚的に1/2くらい違う)。手持ちが緑ジャバとV16しかないので、他のも試してみようと思う。
でもこういう音聞いちゃうとやっぱりリンクよねーって思ってしまう。永久に結論は出そうにない。
補足
いくつになっても新しい発見はあるものです。フェイシングとリードの組み合わせでその人の鳴る鳴らないが決まるのと同時に、咥える深さも関係してくる。自分の場合リンクだとかなり浅いので、青箱が合うけど深くくわえる人だとリードのポテンシャルは発揮できないんじゃないかな?
てことは決めるのは本人以外無理ってこと。他人の楽器を吹いてあんまり鳴らないと思っても、本人の体じゃないから分かりようがない。プロの選定品にしても他人の評価なので意味ない気がしてきた。
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